コロナ禍の2020年7月26日、
下記のような微笑ましいニュースが世界の人々に笑顔をもたらした。
「ポーランド南西部のブロツワフ動物園(Wroclaw Zoo)で、絶滅危惧種のスマトラトラの赤ちゃんが誕生していたことが分かった。関係者が24日、明らかにした。雌の赤ちゃんは、新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)実施中の5月に生まれていた。」
(AFP通信: https://www.afpbb.com/articles/-/3295694)
今回は、この嬉しいニュースを届けてくれたポーランドの動物園、ヴロツワフ動物園をご紹介する。
ヴロツワフ動物園は1865年7月10日に開園と、150年以上の歴史を誇る、ポーランドで最も伝統があり、モダンな動物園だ。
2015年末時点で、同動物園には無脊椎動物を除いて約1万500頭以上の動物が住んでいる。
動物の種類数においては世界3番目の規模を誇り、来場者数ではヨーロッパで5番目と、数字の上でも世界有数である。(1日の最多来場者記録:28,300人)
同動物園は2度ほど閉園を余儀なくされましたが、
その後復活をとげ今日までに活気を取り戻した。
19世紀のヴロツワフ動物園
開園当初は、わずか189頭の動物しかいなかった。
当時のポーランド人に最も珍しがられた動物は、シマウマであった。



飼育員の秘蔵っ子であった

1876年には、田舎の部族代表団による期間限定のショーが行われ、招待された少数民族の人々は、固有の民話や生活習慣について話した。
同企画はとても人気で、第一次世界大戦まで行われた。
またこの頃には、ヴロツワフ動物園は33ヘクタールほどの広さとなり、開園当初の2倍まで拡大した。
当時建てられた歴史的建造物もいくつか現存しており、今日でもそれらを眺めることができる。



動物保護機関・教育機関としてのヴロツワフ動物園
ヴロツワフ動物園における繁殖プログラムは、数々の成功を収めてきた。
2010年と2012年に誕生したピグミーカバ、フィリピンフクロウ(フィリピン以外では世界で初めて繁殖に成功)、2012年に網目模様のキリン、2018年には動物園では世界初のクロクスクスの誕生に成功している。
ヴロツワフ動物園はWAZA (世界動物園水族館協会)やEAZA (ヨーロッパ動物園・水族館協会)などの権威ある組織の一員であり、IUCN (国際自然保護連合)や Species 360のガイドラインに基づいて運営されている。
このことは、同動物園が絶滅危惧種保護のためのキャンペーンやプログラムを実施するだけでなく、
倫理的に行動し、違法に動物を搾取しないことを意味している。
例年、2~3万人ほどの児童・学生がヴロツワフ動物園を教育を受けるために利用している。
専門家である動物園教育担当者が開発した約20個のワークショップが用意されており、子どもたちは生物学、生態学、環境保護に関する重要な問題について学ぶことができる。
加えて、園内にある説明文や図表のパネル、来場者との交流企画といった形で、一般的な来場者も対象にした教育活動が行われている。
また、動物のいないパビリオンである「気候、動物、人」コーナーでは、マルチメディアを駆使し気候変動問題について学ぶことができる。
さらに、「感覚経路」コーナーでは、感覚的な体験により地域の生物多様性に関する知識を習得することができる。
現代の動物園は、外来動物の展示以上に、絶滅危惧種の保護がその存在意義となっている。
実際、動物園にいる動物のほとんどが、国際自然保護連合が管理する絶滅危惧種のレッドリストに名前が挙がっている。
このような流れの中で、ヴロツワフ動物園でも自然界には生息していない動物が保護・飼育されている。
ヴロツワフ動物園の展示内容
動物園にはテーマ別パビリオンが12個ある。
サハラ・トラのサファリ(Terai)・ゾウ舎・水族館・アフリカコーナー・ワニ舎・モンキーハウス
・鳥小屋・牧場・マダガスカル館・類人猿館・蝶のテラリウム・インドネシアのドラゴン館
・気候、人、動物コーナー



水族館の内部


ヒグマ用の施設としてはポーランド最大規模で、約1.2ヘクタールの広さを誇る





ヨーロッパバイソン
動物園の広さは33ヘクタールであり、動物たちが過ごす環境を大切にすると同時に、来園者にとっても快適でリラックスできる空間作りに力を入れている。
ヴロツワフ動物園には入口が複数あり、そのうちの一つは日本様式のもの。
ヴロツワフ公園内には、日本庭園もある。

1960年代から2009年まで、動物園入場口として使用されていた。
動物園を楽しむ工夫 ZOOPUZZLEとZOOQUEST
園内には、子どもたちが散策を楽しめるような様々な工夫がされている。
その1つがZOOPUZZLE(ズーパズル)。
「旧動物園」と「新動物園」の2ルートに園内を分け、それぞれを探検しながら隠された手がかりに基づいてパズルや謎を解く企画となっている。
また、ZOOQUESTというフィールドゲーム企画も行われている。
指定された園内ルートを歩き、ワークシートに記載されていクエストをクリアしていくゲームで、すべての記念スタンプを集めることによって、動物園の生物多様性を発見できるように工夫されている。
また、動物園全体のインタラクティブマップは、モバイル版と紙版で来場者に提供されており、お目当ての動物を簡単に見つけることができる。
ヴロツワフ動物園のすべての動物を見るには6時間ほどかかる。
園内を5周ほど回ってやっと動物園全体を見終われるということから、規模の大きさをご想像いただけるだろう。
さらに現在、新たに鳥小屋が建設されており、今後の更なる規模拡大も見込まれている。
ヴロツワフに行く機会があった際には、ぜひヴロツワフ動物園を訪れてみてはいかがだろうか。
https://tvn24.pl/wroclaw/historia-wroclawskiego-zoo-ra504005-3289440
http://zoo.wroclaw.pl/uploads/Public%20relations/background%20ZOO%20Wroclaw%202018%20-%20PL.pdf
写真:Magdalena Polus撮影
the Wrocław zoo’s gallery for the media and from archives より
